昨年、中目黒にあるカセットテープ専門店waltzをテーマとした「カセットテープの復興。中目黒waltzと大ラジカセ展に見るアナログ回帰の可能性」という記事を書きましたが、ここ最近仕事で代官山に行く機会が増え、中目黒は隣の駅なので、waltzに行くことがぐっと増えました。仕事が終わりに近づくとwaltzに行きたくでうずうずしてくる感じで(笑)、今日は辞めておこうと一瞬思うものの、waltzの閉店時間20:00に間に合う時は必ず寄ってしまいます。
waltzのカセットテープラインナップ
waltzには多くのカセットテープがストックされていますが、大きく分けて二つカテゴリ?があります。一つは主に60年代から90年代にリリースされた過去のアルバム。もう一つは最近世界に拡がっているテープレーベルの作品を店主がセレクトしたものです。
僕はどちらも行くたびにワクワクしながら見ています。特に過去の作品は、前回来た時と在庫の何が変わったのかをチェックするのも楽しいですね。
店主セレクトのテープ作品は、結構回転が速いです。毎回来るたびにラインナップが変わっています。それらを今度はどんなのあるかなーと掘るのも楽しいですね。
過去の作品たち
CD全盛の90年代のカセットテープの品揃えが豊富
過去のアルバムのストックは、ロックが多いですが、テクノやヒップホップ、ジャズももちろんあります。特にCD時代と被っている90年代のカセットテープの品揃えが凄いです。90年代ってもうCD全盛の時代じゃないですか。自分が当時CDで買っていた作品がカセットテープで出てたのを知るんです。え、これ、カセットテープでも出てたんだ!の世界です。びっくりします。
定番で言うとNirvana(ニルヴァーナ)とか(In Utero買ってしまいました)Radiohead(レディオヘッド)とかだけど、他にもマニアックな90年代ものも豊富にストックされてますね。例えば今日目についたのはポウジーズ(The Posies)とか。名盤の「Rosting On The Beater」が置いてました。当時めちゃくちゃ聴いてました。今日も買おうかどうか迷ったけどやめときましたけど。
過去の作品をチェックする楽しさ
何が楽しいって、やっぱり当時CDで聴いていたものがテープでリリースされていたんだーというのを知るのがいいんです。そしてやっぱり買ってしまうんですよねえ(笑)。
あ、そうだ。希少な作品はガラスケースの中に入っているんですけど、現代音楽のジョン・ケージ(John Cage)の作品がずっとあったのに、今日行ったら売れていた!何だかショックでした。若干買おうか迷っていたんです。プレミアが付いているような希少モノも置いてあります。
気になる値段
デッドストックもありますが、基本ユーズドになります。値段は状態にもよりますが、大体2,000円~3,200円位でしょうか。希少モノは10,000円を越えるものもあります。
世界に拡がる新興テープレーベルの作品たち
ワールドワイドなテープレーベル作品は平置き
これがまた面白いんですよねー。カセットテープってリリースの敷居が低いので、世界中で今テープレーベルが増えてます。もちろん日本でも多くのレーベルがあります。個人テープレーベルも多いですね。
そんなテープレーベルから店主がセレクトした作品が平置きで積まれていて、一つ一つにポップがあります。それを読むのが楽しい!
テープレーベル作品のジャンル
ジャンルは多岐に渡ります。どちらかというとマニアックな作品が多いかもしれません。ノイズ、電子音楽、実験音楽、エレクトロ系、テクノ、ハウス、アンビエントとか。あとは、ヒップホップやファンク系、フォークとかもありますね。もちろんロックも。ミックステープもあります。ジャンルは広いと思います。音楽好きにはたまりません。
僕がwaltzで毎回買うのが、この店主おすすめのカセットテープです。いわゆるポップ買いってやつです。それにテープのあの長方形の箱がかわいのでジャケ買い、否、箱買いもしてますよ(笑)。
気になる値段
新興レーベル物は過去の作品より安いです。大体1200円~1800円位ですね。それもあり、思わず数買っちゃうんですよね。安いのも魅力です。
新興テープレーベルの作品ほとんどにデジタルデータダウンロードコードが付いている!
そうなんです。最近新作レコードにもこのサービス?たまにありますが、僕が今まで買ったカセットテープでダウンロードコードが付いてないものはほぼなかったかも。
つまり、テープ独特の暖かいアナログサウンドも楽しめるし、デジタルデータでダウンロードすれば今時の音楽の楽しみ方もできるって訳です。
※写真は、溜まっているダウンロードコードが書いてある紙です。まだダウンロードしてないやつですね。デジタルデータでダウンロードしたやつは、通勤中に聴いたりして楽しんでます。
今日買ったもの
今日は6本買いました。合計で11,556円です。あとで紹介しますが、一番左の作品が一種のアート作品モノなので3,360円と高かった。10,000円を越えてしまいました(泣)。
The Cure 「DISINTEGRATION」
キュアーの1989年リリース、8枚目のアルバム「DISINTEGRATION」です。傑作アルバムと言われてるやつ。実はこれ、僕の中学時代のヘビロテアルバムだったんです。当時はレンタルCD屋から借りてきたものをテープにダビングしてずっと聴いてました。なのでまたテープの質感で聴けることが凄く楽しみ。
中学時代ってもちろんお金もない(レンタルCD代でさえ痛い)し、それもあり、ありがたやーで、一度ダビングしたものは何度も何度も聴いてました。なのでこのアルバムは全曲完全に記憶しています。極端に言えば血肉になっているかもない。キュアーから僕は幽美で浮遊感のある音楽が好きになりました。例えばマイブラ(My Bloody Valentine)とかね。
これで2,480円でした。
AALKO「No Man Is An Island」
Akiko Kiyama主宰のカセットレーベルKebko Music。個人レーベルからのリリースです。彼女の存在は何かのWebマガジンの記事で読んで知っていました。
彼女がレーベルを作ったきっかけが「手作り感のあるものを作りたい」と。現在の音楽流通?安直さ?に対するアンチテーゼというか、違和感なんでしょうか。
このAALKOはAkiko Kiyamaのアーティスト名です。ジャンルはひとくくりにはできなエレクトロ二カ、音響系ですね。牧歌的エレクトロ二カか。日本ではマイナーですが、海外では高い評価を得ています。「お、こんなとこに居たか」っていう出会いですね。レコ屋の楽しみがこれです。出会いなんですよね。パッケージもかわいいです。
値段忘れっちゃった(レシートみてもどれがどれかわからない)んですが、1,480円~1,880円の間です。以下同様。
BARRIO 「GRAND AFRICAN PHASE LOST ANGELES」
フランス在住のキューバ人アーティストです。キューバの人。やはり音にアフリカンな黒さを感じます。ねっとり感も。実際は古いロックアルバムやサイケからサンプリングしたものを再構築したヒップホップに近い音楽です。サンプルの展開が早く、コラージュ感もあります。かっこいいです。
39’00″「1/3」
こちらもフランスのアーティストです。Amo VaccariaとBernold Delgodaの男女のユニットで、音の方はエレクトロ実験音楽ですね。ドローンとも言えるかも。アナログ機材を多用しています。完全な偏向ですが「フランスの男女ユニットで実験音楽」ってだけで買いでした(笑)。
Nosaj Thing「PARALLELS」
アメリカのアーティスト。調べてみるとそこそこ有名な人みたいです。電子音楽の祭典「Sonar Festival 2017」にも出演したり、プロジェクションマッピングで名を馳せた真鍋大度ともコラボってたりしてます。
どちらかというとテクノ寄りの人ですが、今回のアルバムはポップにも書いてありましたが、ボーカルをフィーチャーしたダウンテンポのソウルだったり、ハウスだったり、ミニマル(スティーヴ・ライヒ的な)だったり、アンビエントだったりとジャンルレスなアルバムに仕上がっているとのこと。完全なポップ買いでした。
今回買った中では、キュアーの次にメジャーなアーティスト(落差激しすぎですが)かもしれません。
このアルバムはCD、レコードでもリリースされています(後知識)。
ILYA ARTEMOV「L`EXTREMITE OUBLIEE」
ロシアはモスクワのアーティストです。ロシア(ソ連)の映画監督アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)の映画にインスパイアされて作った音。これはモスクワにある現代美術館”Garage Museum of Contemporary Art”で2014年に行われたライブパフォーマンスを録音したものです。ポップによればディープアンビエントだそう。
BandCampの説明を読むと、サンプルにタルコフスキーの映画「アンドレイ・ルブリョフ(Andrei Rublev)」と「サクリファイス(The Sacrifice)」の音が使われているとのこと。
これ、なんと限定50個リリースの様で、それを買えてしまった!45番。何だか嬉しいです。
完全に手作りです、これ。これで3,360円。こんな作品を仕入れてくるwaltzさんってやっぱ凄いなあ。どういう情報網なんでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか。テープ愛が最近半端なくなってきました。
若い子はカセットテープを新しいメディアと捉えているみたいですが、おっさんの僕は(笑)、郷愁的なものがあるんですよね。中学時代に音楽をいっぱい聴きたくても本物を買えなくて、やっぱりレンタルCDに頼って片っ端からテープにダビングしては繰り返し聴く。その時は音楽知識が薄いので、勉強だと思いホントリアルに片っ端から借りてましたね。
友達はBOØWYとか聞いてたけど、僕は隠れてbauhausとか聴いてました。
一度秘密だよとかって言って好きな女の子に聴かせたらドン引き、変態扱いでした。「何これ、なに宗教?そもそも音楽なの?キモい」とかなんだとか。一曲目はデビッド・ボウイのジギースターダストのカバー(bauhausアルバム「Sky’s gone out」)で、聴きやすい名曲なんだけどなあとか思っていじけてましたね。こんとき彼女はTHE BOOMとか聴いてたんですよね。仕方ないか…
って、そんな思い出が蘇ってくるんです。テープの音質、テクスチャー。
またダラダラ長くなってしまいましたが、皆さんも一度waltzに行ってみてください。
音楽好きな人もそうでない人もめっちゃ楽しいですよ。空間がいいっす。オサレです。
それではみなさん、良い音楽ライフを!
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