音楽

カセットテープの復興。中目黒waltzと大ラジカセ展に見るアナログ回帰の可能性

スポンサーリンク

カセットテープ復興の兆し

ここ最近、音楽メディアとしてのカセットテープが盛り上がってきています。デジタル配信サービスSpotifyが音楽業界全体の底上げと同時に、アーティストへの印税率をアップさせるという非常に洗練されたビジネスモデルで席巻してきている今、その正反対のベクトルにある、レコードやカセットテープがブームになりつつあります。

根強いレコードの人気

僕は今でもレコードを愛好しています。好きなアーティストがレコードをリリースしていない時にしかCDは買いません、もしくはあえて買わないことだってあります。ちなみにSpotifyはじめデジタル配信サービスも利用していません。
理由は明確です。音が悪いからです。レコードを選ぶのは、もちろんレコードジャケットをアート的な側面から楽しみたいということもあるし、アルバムをじっくり楽しみたいということもある。所有欲を満たすという目的もあります。でもやっぱり一番は「音」なんです。

DJがターンテーブルからCDJに移行した0年代

テクニクスの定番ターンテーブルSL1200に代わり、パイオニアがCDをレコードの様に扱える(スクラッチだってできる!)CDJを発売したのが確か0年代です。
当時レコードは既に衰退モードで、唯一その存続を支えていたDJ達がCDJに移行し始めました。そしてついに渋谷宇田川町のレコードショップが潰れ始めました。
銀塩カメラがデジカメにパイを奪われたように、レコードも衰退の一途を辿っていきました。
しかし、それでもdiskUNION他渋谷、下北のレコード屋、及び全国のこだわりのショップは残りました。Webショップだけになった店もありますが、僕のような愛好家にとっては本当にありがたい存在でした。

時代はきまぐれ。再度レコードのブーム

時代は気まぐれです。ここに来てなぜかレコードメディアが復活してきました。毎年プレス量が増えてきているようです。
それに合わせて販売終了になっていたテクニクスのターンテーブルが再発売されました。
価格を聞いた時にビビりましたよ。な、なんと30万を超えてる。。!!あほか。笑
ちなみに僕の当時買って今も所有しているSL1200MK3は49,800円だったと思います。
あーあ。色々迎合しすぎじゃないっすかねえ。ホンマに。

現在手頃なお値段で買える、ポータブルプレイヤーをまとめで紹介しています。デザインも秀逸でコスパ高しで、よくやった!的商品です。

とは言ってもレコードは全音楽メディアの中では、シェア率が低いです。最近では需要と供給のバランスが需要寄りで、10年~20年前に比べると価格は倍になっています。それでも僕はレコードを買い続けています。そう、タバコと同じ。どんだけ価格が上がろうと買う(笑)。
レコードのプレス工場が少ないので、そこでコストがかかることも要因のようです。

カセットテープの盛り上がり

今の20代はカセットテープという存在を知らない。今の22歳の子はニルヴァーナのカートコバーンが自殺した年に生まれた子達なんです。とかいうと自分が如何におっさんかがわかります
(笑)。その時自分は何をしていたか。そうだニルヴァーナの「In Utero」をCDで聴いていた。カセットテープは中高時代の友だったんだけど、少し大人になった自分は生意気に目新しいCDに移行してたんですね。
おっと、その前にMDというものがありましたが、ビデオにおけるベータ?のように長続きはしませんでしたね。

デジタルパッケージされた音とは

CDはデジタルパッケージされたものです。デジタルというのは量子化=アナログ信号の近似値をデジタルの01(ゼロイチ)変換したもので、陳腐な表現ですが、そのデータを大きく拡大すると丸い線がカクカクに変換されてるイメージです。画像のビットデータを拡大していくとカクカクしているのと同じです(なんとへぼい表現なのか(笑)失礼!)。
デジタル音は近似値を取るだけであって、確実に落とされた音が存在します。ちなみにデジタル配信で主に使われているAACというようなフォーマットは、人間の耳に聞こえない周波数はもちろん、意識しなければそこまで違和感を感じないような周波数が落とされています。それによりデータを圧縮している訳です。簡単に言えばですけど。
つまりこのようなデジタルパッケージされた音が当たり前になっている人の耳は、確実に昔より劣化している訳です。

カセットテープの魅力

 あたたかい音。そして人の想いが入るメディア

カセットテープの音はちょっとくぐもった音だけど、すごくあたたかい音です。何だか安心します。昔はレンタルCDショップに行ってCDをかりてきては片っ端からカセットテープに録音していたものです。
自分の好きな曲を編集して、友達同士で交換したりしたよなあ。好きな子にお勧めのアーティストのテープを貸してもらい変にドキドキしたり。なんていうか、CDだと作品そのまんま(当たり前)なんだけど、テープだとそこに彼女が録音した、もしくは編集したという行為が後ろにあるのです。そこに艶めかしいものを感じていた僕は変態でしょうか(笑)。
あ、それにラベルとかも自分で作るんですよねえ。基本は手書きですけど、ちょっと凝ってくると、ラベリングシール買ってきたり、変な絵を描いてみたり、思い出してきたなあ。楽しかった。

 安さの魅力。近年は世界中でテープレーベルが立ち上がっている!

カセットテープはお金を持っていない特に中高生、貧乏大学生、バンドマン、音楽家の味方でした。よく、ノーマルテープとかメタルテープとか研究しましたね。メーカーによる値段の違いとか音の違い、デザインもetc..。
ここ最近のカセットテープの盛り上がりで、世界中にTapeレーベルが立ち上がっています。
昔から、アバンギャルド・ノイズ系のアーティスト達はあえてテープリリースするということもありましたが、近年はテクノ、エレクトロ系、フォークトロニカ、アンビエント他インディロック系レーベルも多く出てきました。
カセットテープで作品を流通させるのは安価で済むので、面白いレーベルがバンバン出てきてますね。これらを掘っていくのも楽しみですね。

カセットテープ作品を再度楽しむために、僕は実家に眠っていたSonyのTC-WF475を送ってもらい自宅にセッティングしています。こいつはカセットテープ時代の最後期まで販売されていたモデルで、機械としての性能は相当高いですね。後で紹介するヴィンテージのラジカセもいいんですが、やはりじっくり聴くにはテープデッキが一台あると重宝しますよ。
まとめで現行でも発売されているおすすめのモデルを紹介しています。

中目黒waltz

さて前置きがかなーり長くなってしまいました。書きながら熱い思いが噴出してきて止まらなくなってしまいました。。
そんな日本で唯一のカセットテープ専門店である中目黒のwaltzさんに行ってきました!念願の来店です。というか、夏に行ったレポートです。遅くなりました。

waltzは中目黒の住宅街の中にあります。駅から15分位です。

この二股路にくるとすぐそこ

waltzに到着

静かな住宅街に調和していて、最初気付きませんでした。予想通り良い感じだなあ。ワクワクします。
※waltzさんに許可をもらって、店内の写真を撮らせていただきました

店内はカセットテープ、レコード、書籍、ラジカセなどが置かれています。カセットテープがもちろん中心になりますが、すごく洗練された空間で、いつまでも居たくなる空間です。音楽好きにはもう、そりゃもうたまりません。

 平置きの店主おすすめのコーナー

平置きのカセットテープ。店主お勧めのポップが貼ってあります。ほとんどが海外、および日本のテープレーベルのものです。うーん。このカセットという長方形の箱にやっぱり心が熱くなるね。全部欲しい(笑)。

なんか綺麗っすねえ。

 ラジカセも置いてあります

ノスタルジックだけど、なんだか古びない。なぜだろう。

 音楽、アート系雑誌、書籍も

 映画サントラコーナー

セレクトもクールですね。リンチのブルーベルベットとか、レザボアドックスとかね。レザボアの曲、昔バンドでカバーした気がするなあ。

お。リアリティバイツだ。ウィノナが万引きする前か(笑)。若い頃に嫌なくらい聴いていたアルバムなので購入しませんでした。

 カセットテープもレコードも試聴できます

 希少なもの。プレミア系

こちら現代音楽コーナーでしょうか。な、なんと。ジョン・ケージ!うおー、欲しいなあ。

The Wireの「Pink Flag」ですね。佇まいがかっこいいな。

 僕の選んだもの

店にあるものが全部欲しすぎて困ったんですが、、迷ったあげく僕が選んだのは下の2本です。まずは、平置きコーナーにあったこれ。何でもイタリアのアーティストとのこと。
ジャンル的には、ノイズ・インダストリアルテクノ・エレクトロニカの融合系っぽいですね。完全なジャケ&ポップ買いです。

 

View this post on Instagram

 

RM / The Hierarchy Of Being

waltzさん(@waltz_tokyo_japan)がシェアした投稿 –

次に選んだのは、見付けておおお!となったやつですが、PJ Harveyの1993年のアルバム「RID OF ME」です。スティーブ・アルビ二による静寂と爆音との差が極端に激しいミックスワークで彩られたマストアイテム(勝手に)ですね。これは嬉しかった。

 カセットテープの値段

気になるカセットテープの値段ですが、定番(当時カセットテープでリリースされていたもの)は、大体2000円~2800円位で、ここ最近のテープレーベル系は1200円~2000円位です。

 購入するとオリジナルトートバックがもらえます

このトートバック、ヘビーユースしてます。かっこいいから。奈良美智さんの展示会もこれで名古屋までいきました。

 

View this post on Instagram

 

Shopping bag. Offering to customers who purchase over ¥1500.

waltzさん(@waltz_tokyo_japan)がシェアした投稿 –

ラジカセラブ

大ラジカセ展

中目黒waltzに初来店した日にちょうど渋谷で「大ラジカセ展」なるものが渋谷西武で開催されていたので、帰りに寄ってみました。
長年ラジカセを収集してきた方のコレクション展示と、カセットテープの作品展示。やっぱりでてきましたみうらじゅん氏(笑)。

ラジカセ名機のオンパレード

圧巻です。ひたすらラジカセ!ラジカセ!ラジカセ!です。よくぞこんなに集めたもんだ。
僕が中学生の時に持っていたラジカセなんて氷山の一角でした。こんなにカッコいいラジカセが出てたなんて。知らなかったぞ。
さあ全部一気にいきますよ。

機能美とファニーMix!






でたー!ヒップホップ!WILD STAYLE

ヒップホップ創成期。奴らは巨大なラジカセを肩に担ぎ、ヘロヘロのリズムマシーンビートに載せてラップ、そしてブレイクダンスでしたわね。

懐かしのカセットテープ達

これでもかー!なつかすいー!

私家カセットテープ

空耳アワーの安斎さん

常盤響。この人色んなところで出てくるな

まとめ

という訳でいかがだったでしょうか。書いてる僕もお腹いっぱいです(笑)。どのラジカセが一番好みでしたか?個人的にはあまりにも世の中がデジタライズされて面白くないと感じているので、このアナログ回帰の兆候は歓迎すべきものです。
レコードやテープの値段が上がるのは痛いですが…(笑)。いや、しかし本来そのくらい価値のあるものです。デジタルメディアが10年もたないのに対し、アナログメディアって100年、下手したらもっともっと持つんですから。音の豊かさもデジタルはアナログには全く歯が立ちません。
とは言っても、別にデジタルを否定している訳ではないです。かく言う僕もノートPCで音楽を作っていて、デジタルの恩恵にあずかっている者の一人ですし。両者が共存するバランスの良い世界になって欲しいと願っているだけです。大袈裟かもしれませんが。

中目黒waltz

waltzさんはあえてネットショップをやられていないそうです。それは、実際に手に触れて音楽を感じてもらいたいという意図からだそうです。ネットで何でもクローズできる昨今、やはりデジタルに対するアンチテーゼまではいかないけれど提案だと思います。アナログの豊かさと同様、コミュニケーションの豊かさというのでしょうか。
———-
waltz
東京都目黒区 中目黒4丁目15−5
03-5734-1017
13:00 – 20:00 / 定休日 月曜日

※waltzさんにはラジカセもうってますよ!

今回僕が思わず熱中してしまった本!

音楽
ブログをフォローする
スポンサーリンク
芸術は物欲だ!

コメント