2017年の乱読。よかった本ベスト10!

帰省の新幹線の中でこれを書いてます。のぞみのグリーン席、喫煙ルームもあって相当快適です。iPhoneでテザリングしながら。いやあ便利な世の中だ。

今年もよく本を読みました。図書館も大いに活用して乱読の嵐でした。しかし、いつだったか、夏頃からか秋だったか、急にもう活字はやめよう、言語のインプットはこれ以上意味がないと思い、活字を追いかけるのは辞めました。

その代わり一気にアート本熱が加速。美術本や写真集を漁る毎日になりましたね。

「2017年よく聴いた音楽アルバムベスト10!」の書籍版を書いて行こうと思います。これもあれです、今年出た本だけではなく、過去本も含みますのであしからずー。

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第10位 スコット・トゥロー – 「推定無罪」

今年初頭、ミステリーモードの時がありまして、ミステリー本の毎年出るレコメンド雑誌?「このミステリーがすごい」、いわゆる「このミス」も買ったし、結構過去の名著も読み漁りました。エラリー・クイーンとかね。
推定無罪。

昔ハリソン・フォード主演で映画が大ヒットしましたね。もちろん当時僕も観ています。しかし、原作を侮るなかれ。「羊たちの沈黙」然り、原作は映画版を必ず凌駕するもの。だって原作だもの。
いやあ面白かった。ミステリーモードの時に読み漁った本の中でダントツでした。スコット・トゥローの関連作「無罪」や他のやつも読んだけどやっぱりこれにはかなわない。あと何読んだかなミステリー。「このミス」おすすめの本も何冊か読んだけど、確かに面白いものはあった。うん。推定無罪、おすすめです。ちょうどお正月のダラダラしてる時にいかがでしょうか(笑)。

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第9位 ドン・タプスコット / アレックス・タプスコット – 「ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか」

今年の私的トレンドテクニカルタームは「ブロックチェーン」でした。

今年の初頭から1年で状況もかなり変わりましたね。タームがどんどん浸透していって、サービスをいち早く展開する企業がバンバン出てきた。

この本で興奮して夢を見て(笑)、他の書籍も何冊か読んで勉強してかなり理解が深まったし、現実も見えてきた。うちの会社もご多分に漏れず、「ブロックチェーン」を自社サービスに適用しようと躍起になっています。今年中にローンチする予定でしたが、来年3月まで持ち越しです。

最近では、ビットコインの暴落に加え、「ブロックチェーン」のテクニカルな問題が今まで以上に浮彫になってきました。しかし、「ブロックチェーン」は思想分野でも解釈が深まってきています。「現代思想」でも特集が組まれたほどです。

中央集権的権力やヒエラルキーの破壊、ドゥルーズ=ガタリが提唱した「リゾーム」の概念(横へ拡散していくネットワーク的な)と近しいことが「ブロックチェーン」で実現するのではないか。と。夢を見させてくれる本でしたね。

現実はもちろんありますが、本当に夢物語ではないかもしれない。ワクワクするので一度読んでみてください。

第8位 Mark Borthwick – 「not in fashion」

アメリカの写真家であり、映像作家、音楽家、詩人でもあるMark Borthwickの2009年の写真集です。友達に教えてもらいました。

過去の記事「僕がソニック・ユース(Sonic Youth)から知った最高のアーティスト達」でも書きましたが、ソニック・ユースのアルバムのアートワークを担当したりもしています。

彼の写真はファッション写真の洗練されたイメージをベースとしながら、光の表現が唯一無二というか、うまく言えませんけど心のイメージレイヤーにずっと残るものなんです。一度写真を見てみてください。画像検索とかで出てきますよ。非常に美しいし、夢の世界のような。

これ、プレミアが付いていてAmazonをみたらあり得ない値段で売られています(10万くらい)が、僕はヤフオクでラッキーなことに1万円で手に入れることができました。

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第7位 ジャン ボードリヤール – 「消費社会の神話と構造 新装版」

僕の今年のテーマ、というか数年前大病をして以来のテーマが「相対性の排除」。「相対性」は全てを破壊する。負の感情の根本原因は「相対性」にあると改めて悟ったわけです。自分が如何にそれに支配され続けていたかが、病気をしてよくわかりました。

この本は「”記号”がもたらす相対性」を書いた本だと解釈しています。いろいろごちゃごちゃすみません。。だけど改めて詳細に語られると滅法面白いというかなんというか。。

“すべては消費される「記号」にすぎない”

なんてかっこいいですよね。ピンときた方読んでみてください。おもしろいですよ。

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第6位 アニエス・ジアール – 「エロティック・ジャポン」

もうこれは、なんていうかもう、「ド変態本」です(笑)。僕の行きつけの荻窪の古本屋ささま書店でタイトルを見るなり、むむむ。中身を見て即買でした。

いわゆる日本独特のエロティックカルチャーの全てを網羅した本ですかね。軽い本ではありません。軽いというのは、エロス的に軽いってのと、内容が軽いってことなんですが、前者は女性なら目を覆いたくなる変態性まで触れているし、後者はこの本は一応論評の体をとっている(そこまで重くはない)ので非常に真面目な本なんです。

これ以上言いません(笑)。興味のある方は読んでみてください。

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第5位 日暮 吉延 – 「東京裁判」

6位との内容の差が半端ないですが(笑)、今年中盤位だったか軍人、かつ昭和天皇モードの時がありました。本棚を見たら「昭和天皇」という本まで買っています(まだ読んでません)。この東京裁判。教科書では知りえなかった当時の状況、裁判そのものだけではなく、戦後の混乱、当時の日本人の精神性、アメリカへの迎合、政治的駆け引き、アングラ、財閥など色んな情報が詰まっています。

僕が驚愕したのが、戦後の日本人(高等軍人や市井の人々も)の精神性が、今とほとんど変わらないじゃないか!ということでした。

もちろん敗戦と同時に切腹した方もいらっしゃいます。うちのじいちゃんも敗戦時は酒を毎日あびるほど飲んでとち狂っていたみたいです。うちのじいちゃんもそうだと思いますが、アメリカに敗戦したこと自体に絶望したのではなく、その背後にあるあらゆる悲しみ、虚しさ、怒りみたいなものが襲ってきたんだと思います。

何だか言いたいことが良く分からなくなってきましたが、この本を読んで怒りを抑えれなかった箇所もありました。人間の醜さ、愚かさを改めて感じた本でした。

第4位 川内 倫子 – 「Halo」

過去の記事「川内倫子の新作写真集『Halo』は光と闇の神聖。黄金と群青」で詳しくレビューしています。とにかく静謐で美しい。光。闇。黄金。群青。
今年、頻繁にひらいた写真集です。

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第3位 地中美術館公式カタログ

今年、直島の地中美術館に行きました。詳しくは過去の記事「瀬戸内アート島巡りの旅!見どころ・行き方など【② 直島編】」でレポートしていますが、とにかく地中美術館が圧倒的に美しかった。

まず美術館が安藤忠雄の設計・構築でそれ自体が作品です。美術館内の作品は非常に少ないのですが、作品というか空間というか、もう圧巻の世界でした。

このカタログは通販はやっていないので、現地である地中美術館のミュージアムショップでしか買うことができません。

で、実はなんですが、僕はこのカタログをうっかり買い忘れて東京に戻ってきました。でもあの感動が忘れられない。どうしても欲しい。地中美術館に電話をし事情を話して頼んでみたら、今回だけ特別にということで通販させていただきました。感謝感謝です。

この本はミニマルでホント美しい本で、ページを開くたびに新しい発見があるし、心が浄化されます。ということで、今年アート本で一番よくひらいた本でした。

第2位 久保田 晃弘- 「遙かなる他者のためのデザイン ─久保田晃弘の思索と実装」

久保田さんの書籍は2001年に発売された「ポスト・テクノ(ロジー)ミュージック―拡散する「音楽」、解体する「人間」」から読み始めました。僕はこの本に衝撃を受けました。ここから工学と芸術、そして音楽の連関を知ることができたんです。それまで音楽とテクノロジーなんてDTM位の意識だったから、感動しましたよ。

僕はこの本で、こういう世界で生きていきたいと強く思い、当時の僕なりに少しずつ実践していきました。最初は難解だった概念や思想、思考もどんどんわかるようになったし、世界をより抽象性をもって捉えることができるようになった。そして職業が変わりました。この本が僕の今を決めたのかもしれない。

そして今回のこの本は久保田さんの20年の軌跡、総括をした本。発売されたときはキターーーーーー!!でした。やはり素晴らしかった。いつも何千歩も先を行っている久保田さんにこれからもついて行こうと思います。
工学とアート、メディアアートとかに興味がある方なら入りやすいと思います。それ以外の方にも是非読んでほしい!

第1位 村上 春樹 / 川上 未映子 – 「みみずくは黄昏に飛びたつ」

さて栄えある第1位は!がらがらがらがらがらがらじゃーん!
村上春樹と川上未映子の対談本でした。今年4月に発売された本です。
2人の組み合わせが意外すぎて「ほんまに?」って感じでした。突然ですが、僕は川上未映子の小説は正直好きではないですが、彼女自身が好きです。生き方というか。
家が貧乏で昼間は本屋、夜はホステスのバイトをしていて大学には行かなかった。
歌手としてメジャーデビューするが全く売れず契約終了。その後日大の通信学部で哲学を学んでいた。それから芥川賞受賞。前後関係は違うかもだけど、受賞後に特集が組まれた雑誌のインタビューなどで語られていたことだ。こういう叩き上げの人が僕は大好きだ。

芥川賞受賞の時はあのルックスに驚いた。お!まじか!きれいすぎる(笑)。

そんなよこしまトリガーで受賞作「乳と卵」を読んだんだけど、残念ながらあまり好きになれなかった。他の作品も読んだ覚えがある、でも感想は変わらなかった。
それから数年経ち、僕の敬愛する作家阿部和重と再婚!こいつはいいとこ押えてくるなー!という感じで、今回もそう。審美眼がすごいのかね。

この対談本は川上未映子がインタビュアーだったから成り立っていると言っていい。春樹さんの内面をどんどん引き出していく。メタファーの話なんて、何て上手く引き出すんだこの女は!と感心した。結果的に僕も春樹さんに聞きたいと思っていたことが聞けたような読後感になった。

村上春樹ファンはもちろんのこと、そうでない人も物事の捉え方や大袈裟かもしれないけど、生き方ってものが学べる本だと思う。僕とかは長年の読者なのである程度は想像できた内容だったけど、そうでない人は結構この内容に救われるのではないか。パラダイムシフトが起こるかもしれない。

第7位のボードリア―ルのところにも書いた「相対性」、「記号」といったものも関連している。井戸、壁抜け。読みましょう。

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まとめ

さていかがだったでしょうか。音楽ベスト10に続いての本ベスト10。なかなか書くの疲れました(笑)。実は音楽ベスト10と同じように次点も2作品あったんですが、疲れたので書くのやめました(笑)、すみません。

こうやって書いていると、本の内容、イメージが蘇ってきました。だから疲れたのかなあ。いっぺんに何冊も再読したような。

冒頭にも書きましたが、すでに活字中毒やめますモードに入っているので、来年はどこまで本を読むのか見当がつきません。写真集はいっぱい買うだろうなあ。

兎にも角にも来年もセンス抜群の本漁りをやっていきたいと思います。

それでは皆様良いお年を!

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芸術は物欲だ!

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